昔は良く文庫本を読んでいたのですがいつの頃からかお気に入りの作家の新刊が出なくなってしまったため、小説などをじっくりと読む機会を失っていました。
もちろん情報誌などは読んだりしていましたし、通勤時の暇つぶしに漫画週刊誌を読んだりすることはありましたがそれらを購入していたのも読み捨てられる本であることもポイントだったのかもしれません。
今の時代、都会に住むには書籍類をストックしておくスペースも高コストなので、なるべくモノを増やしたくありません。
そこで本そのものをデジタルデータとして扱う電子書籍を、その代替として注目したわけです。
かなり昔から、流通の革命、読書スタイルの革命、収蔵されるスペースの革命、などなどを本の業界に対して起こそうと、日本の家電メーカーが中心となった電子書籍端末ビジネスがありました。
実際のところ、端末そのものが3~5万円ほどするというハード単体で利益を確保したいというメーカー側のロジックが透けて見えるようなしょっぱいモノが何度か現れ、そしていつのまにか消えて行くという繰り返しでしたが…。
そして昨年ようやく、海外での成功事例としての電子書籍サービスがいくつか日本に上陸する運びとなりました。
以前からこうした電子書籍におけるムーブメントはだいたい10年周期で発生していたのですが、ようやく本命のサービスがやってきたようです。
デジタルであれば本は安く買えるのではないかというユーザー側の想いはあるのですが、出版社は既存のビジネスモデルからの変化を嫌う傾向にありました。
本の定価を下げることは、その価値を下げることに他ならないと思っていたようです。
そのため黒船と呼ばれたアマゾンの電子書籍サービス kindleもその洗礼を受け、初期の交渉からかなり時間が経過したにもかかわらず、スタート当初は本の割引販売などが考慮されない形でリリースさせざるおえないようでした。
そこに風穴を開けてスタートしたのが、楽天のkobo というサービスです。
もともとはカナダにあるkobo社のサービスでしたが、kobo社そのものを楽天傘下に置くことにより、すでに大勢いるであろう楽天会員を分母としたスケールメリットを生かしたビジネススタートを目指したようです。
ただ、サービス開始当初は色々と運用や広報面で問題を起こしたことでも有名です。
そのためkobo本来のサービスや電子書籍端末としての正当な評価は長い間されませんでした。
サービス開始初日のトラブルやその運営の顛末をユーザーとして見てきましたが、ここ最近は中の人の頑張りはかなり評価できるレベルにはなってきており、少々のミスは目をつぶってあげたい感じにはなってきました。
本体のファームウェアもかなりの回数更新されて改良されており、初期に購入したkobo touchという端末も本来持っていたポテンシャルを十分に発揮するようになりました。
なぜアマゾンのkindleにしないの?という声も聞こえてきますが、kindleは端末としてのスペックや思想についてユーザー側で自由にできる部分が極めて少ないところが困ります。
kindle は内蔵メモリが固定でユーザー側ではどうにもなりません。
さらに、クラウドのストレージを利用する前提の設計がなされているため通信ができないエリアでは格段に使い勝手が落ち、また無料で提供されているクラウドエリアの容量も少なくユーザー側で運用の工夫が必要です。
kobo touch / kobo glo は microSDカードスロットが搭載されており、ユーザー側で自由に外部メモリの増設が可能となっているためたくさんの本を持ち歩けるほか、データサイズの大きいコミックなどを利用する際も心配がいりません。
さらに、自炊と呼ばれる所有している本を自分でスキャンをしてデジタル書籍化したデータの活用もできるなど、ユーザー側で利用の仕方を工夫できるところが評価されています。
また文字を中心とした電子書籍は管理人個人の主観ではありますが、E-Inkを採用した端末の方が目にも優しく読みやすいという結論に達しており、その端末の完成度も kindleよりもkoboの方が数倍優れていると思います。
アマゾン、楽天ともに基本的なベース部分は単なるECサービス業であり出版社ではありません。
となると、そこに電子書籍という商品を卸す出版社側の気持ちに立てば、ある程度分母が行きわたった電子書籍端末が存在する前提であれば、双方に同じ本が存在するようにしたいと思うはずです。
現に、アマゾンというブランドで鳴物入りで収蔵冊数を誇っていたkindleと、楽天のkoboでは現時点での購入できる電子書籍のタイトルについて、そんなに違いがないことがわかるかと思います。
さらに先行してサービスを展開していたSONY、SHARP、印刷会社などが運営している既存の電子書籍サービスとの比較において、ラインナップされているものの差異も同様な様相を呈してきました。
その上でスケールメリットを出せる企業、読みやすい端末を用意できる企業、ユーザー側にある程度自由を与えてくれる企業など、それぞれが加味されたサービスが選ばれていくのであろうと思います。
スケールメリットの面から考えると、何かしらのユーザーの分母をもっていなかった運営母体はかなり厳しい戦いになっているのではないかと推測できます。
それでは今回おススメしている「楽天のリーズナブルな端末」kobo glo とはいったいどんな端末なのでしょうか。
つい最近、購入してみたので簡単にご紹介していきます。
パッケージはシュリンクされている厚紙ベースの箱。
蓋を開けるとこんな感じです。
スクリーンに表示されているイラストはE-Inkで表示されており、通電されていなくても消えたりしません。
表示を書き換えるときにのみ電力を利用するという特性のスクリーンがE-inkの特徴で、消費電力を押さえることに一役買っています。
パソコンのUSB端子に繋げるよう指示がされているようですね。
WiFi でストアと接続させることによってケーブルレスでの利用も可能なのですが、USB接続の方がkobo glo本体の充電も一緒にできるので個人的には気に入っています。
本体を取り出して裏返すとこんな感じでわりとシンプルです。
箱の中にはマニュアルが見えますが、そこの描かれているイラストからもわかるように太陽の下ではそのまま、夜にはライトをつけて利用することを推奨しているようですね。
そうです、kobo gloはフロントライト搭載モデルなのです。
本体そのものがそんなに高価ではないのですが、電子書籍端末はある程度ラフに使いたいのでスクリーンプロテクターを利用します。
おススメはツヤ消しタイプです。
書籍データを kobo touch (左)、kobo glo (右)にそれぞれ入れてみました。
サイズもご覧のとおり kobo glo の方がコンパクトに軽く作られています。
スクリーン部分の解像度もそれぞれ、600 × 800 px と、 758 × 1024 px と、kobo glo の方が高精細になっています。
kobo glo のフロントライトをオンにしてみました。
白さが際立ちますが、眩しすぎる感じがしますよね。
kobo のフロントライトは、1%~ 100%の段階で輝度の調整ができ、好みの明るさで読書をすることができます。
ちなみにこの時のライトの輝度は、100%の状態でした。
kobo glo 専用のスリープカバーです。
このカバーにkobo glo を取り付けると、カバーの開閉に連動する形でkobo glo 本体がスリープ状態から ON・OFFされるようになります。(本体のスリープ連動設定時)
バッテリーの節約にもつながりますし、スリープカバーの表面がコットン素材でできているので手にしっくりと馴染むところも高評価です。
kobo glo をスリープカバーにセットするとこんな感じに。
カバーの内側に、kobo glo の外周サイズにカッチリと合う受けの部分が本体の四隅位置にあり、そこにパチンと押し込むような感じでフィットさせます。
ズレ落ちることはまずありません。
スリープカバーの蓋が携帯時にパカパカ開かないようにするために、ゴムのバンドが本体についています。
マグネットなどでくっついてくれると美しいのですが、少しでも全体の重さを減らしたかったためにこの手法を採用したのだと思います。
kobo touch 、kobo glo など、所有している端末それぞれに書籍データをダウンロードをさせておくことができるため、常識の範囲内であれば家庭内での読書スタイルに制限はないと言えるでしょう。
現時点では1つのアカウントでシンクできる台数に制限はないようです。
またi OS や アンドロイドで利用できるkoboビュワーアプリも存在しており、専用のkobo端末を利用しなくても読書体験が可能なサービスとなっています。
グラビアなどカラー写真を中心としたものを閲覧する場合には、E-Inkの端末よりもスマートフォンやタブレットなどの液晶端末の方が向いているかとは思います。
同一アカウントであれば別々の端末でも制限なく、購入した本を読むことができるkoboのメリットがここでも生かされます。
koboストアで販売されている出版社ごとの考え方にもよりますが、紙の本の定価よりも安く売られるようにはなってきており、それ以外にも一定期間利用できる書籍を安価に購入できるクーポンも楽天kobo側から定期的に発行されています。
20%オフクーポンや30%オフクーポンなどは良く出回ることもあり、koboファンの購買意欲をくすぐることに成功しているみたいです。
現在、kobo で読める本は 300冊くらい購入しました。
個人的には BOOK OFF など、著者に一銭も還元されない仕組みで利益をあげている大規模な会社が嫌いです。
建前として売却利益で新品の本をまた購入してもらえるといううたい文句を挙げているかもしれませんが、 買取時には定価の10分の1以下の金額で買いたたくなどはザラであり、その金額では著者の懐が温まる確率もかなり低いと言わざる負えません。
電子書籍はモノを購入するわけではなく、コンテンツを読む(利用する)権利を購入しているだけなのかもしれません。
しかしそのメリットである、紙の本の定価よりも安く購入できることがあるという点を最大限に生かし、著者のクリエイティブな活動への対価を届けることについては、まじめに考えた方が良い点だと思います。
願わくば、コスト面においてユーザー側も納得して購入できるお得な価格を設定してもらい、本来あるべき場所に正しく利益が還元される仕組みとして、これからも電子書籍が発展していけばいいなぁとは思います。